ラスターの日射量 (Spatial Analyst ツール)
サマリー
地球または月の数値表層モデルの各ラスター セルに対する日射量を計算します。
日射量は、一定時間内に受けた単位面積あたりの日射エネルギーの量として計算され、計測単位は 1 平方メートルあたりのキロワット時 (kWh/m2) です。
使用法
日射量の計算では、データ範囲が大きい場合や、多くの時間間隔を計算する場合に、計算上の負荷が高くなることがあります。 このため、高い処理能力と多くのハード ディスク容量が必要になる場合があります。 最大解像度のデータで実行する前に、粗い解像度のデータまたはデータのサブセットで事前に実行することで、設定が正しいことを確認できます。
入力サーフェス ラスター パラメーターの定義済みの空間参照は、解析対象が地球であるか月であるかを指定します。
日射量の計算では、出力座標系の環境値が投影座標系 (PCS) である必要があります。 メートル単位で PCS でデータを保存することをお勧めします。 球面座標系で解析を実行する場合、出力座標系の環境を有効な PCS に設定する必要があります。
入力ラスターをリサンプリングする必要がある場合は、共一次内挿法を使用します。 入力ラスターをリサンプリングする例としては、出力座標系、範囲、またはセル サイズが入力と異なる場合があります。
サマータイムは地球の場合にのみ使用できます。 月の場合、時刻を UTC で指定する必要があります。
終了日時 パラメーター値は、開始日時以降である必要があります。 合計期間は 1 年以内にする必要があります。 開始日時と終了日時は暦年をまたぐことができます。
出力日射量の値は、それぞれの時間間隔ごとに計算されます。 ある時間間隔における日射量が 0 の場合、その場所に対する結果は 0 になります。
開始時間と終了時間で指定された合計時間が時間間隔で均等に分割できない場合、合計期間は必要なタイム スライス数を提供するために内部的に延長されます。 たとえば、時間間隔 パラメーターが 3 日に設定されているものの、指定された開始時間と終了時間の差が 8 日の場合、時間間隔は 9 日に延長されます。 時間に対する部分的な結果は返されません。
地球データの最小時間間隔は 30 分であり、30 に比例する必要があります。 月データの最小時間間隔は 2 時間であり、2 に比例する必要があります。
入力解析マスク パラメーター (Python では
in_analysis_mask) を使用して、出力ラスターをマスク エリアで定義された場所またはセルのみに制限します。 また、対象地域の外側のサーフェスの影響を考慮することも重要です。 マスクは、ラスターまたはフィーチャ データで定義できます。解析マスクは、計算に使用される解析範囲には影響しません。 このため、マスク エリアの外側の地形や潜在的な障害物は、定義されたエリアに対して計算される日射量の値に影響します。
マスク入力がフィーチャ データセットである場合、デフォルトでは入力サーフェス ラスターの値からのセル サイズとセルの配置を使用して、内部でラスターに変換されます。
事前に計算された傾斜角および傾斜方向ラスターを入力として指定すると、特にツールを繰り返し実行する場合や、大規模なデータセットを解析する場合にパフォーマンスが向上します。 入力傾斜角ラスターまたは傾斜方向ラスターのいずれかの値が指定されていない場合、値は入力サーフェス ラスターから計算されます。
近傍距離 (Python では
neighborhood_distance) は近傍サイズを決定し、ターゲット セルの中心からこの距離でサーフェス パラメーターを計算します。 入力ラスターのセル サイズよりも値を小さくすることはできません。近傍距離が小さいほど、小さな地形フィーチャの特性など、地形の局所的な変動性を取得できます。 高解像度の標高データでは、距離が大きい方が適切な場合があります。
適応近傍の使用 パラメーターをオンにしている場合 (Python では
use_adaptive_neighborhood = "ADAPTIVE_NEIGHBORHOOD"の場合)、近隣距離が地形の変動により変化します。 計算ウィンドウで変動が多すぎると、近隣距離が縮小されます。月には大気が存在しないため、放射パラメーターの散乱率と透過率は解析時には関係ありません。 その結果、散乱日射量は 0 になり、総日射量は直達日射量に等しくなります。
散乱率は、全天標準日射量のうち散乱する比率です。 値の範囲は、0 から 1 です。 大気の状態に従って、この値を設定します。 一般的に、快晴の場合で 0.2、概ね晴れの場合で 0.3 になります。
透過率は、大気の上限部分で受け取られるエネルギーに対する、地表まで届いているエネルギーの割合です。 値の範囲は、0 (不透過) から 1 (完全透過) です。 一般的に、快晴の場合で 0.6 または 0.7、概ね晴れの場合で 0.5 の観測値が得られます。
透過率は、散乱率パラメーターと逆相関関係にあります。 これらの値を変更すると、モデルの結果に影響を与える可能性があります。 対象地域の最適な値を特定する際は、複数の変数 (場所、時間など) による影響を受けます。 これらの値を変更して、結果に与える影響を比較できます。
太陽図グリッド レベル パラメーターでは、計算の速度と精度を制御します。 これにより、H3 地理空間インデックス システムに基づいて、内部計算に使用される六角形グリッド セルの解像度が調整されます。
グリッド レベルの値が小さいと、作成される大規模な太陽図エリアが少なくなるため、ツールの実行時間が短縮されます。 グリッド レベルの値が大きいと、作成される小規模な太陽図エリアが多くなるため、結果の精度が上がります。
地球の場合、太陽図グリッド レベルの有効な値の範囲は 5 ~ 7 です。 月の場合、有効な値の範囲は 4 ~ 6 です。
デフォルト レベルは入力サーフェス ラスターによって決まります。 地球のサーフェス データの解析では、解析セル サイズが 4 メートル以下の場合、デフォルトのグリッド レベルは 6 になります。 セル サイズが 4 メートルを超える場合、デフォルトのグリッド レベルは 5 になります。 月のサーフェス データの解析では、デフォルト レベルは 6 になります。
次の表には、太陽図グリッド レベルごとの六角形グリッド セルの平均面積が平方キロメートル単位で示されています:
レベル
地球
月
4
該当なし
131.6
5
252.9 (デフォルト > 4m)
18.8
6
36.1 (デフォルト < 4m)
2.69 (デフォルト)
7
5.16
該当なし
このツールは GPU により処理を加速化できます。つまり、システムで互換性のある GPU (グラフィックス処理装置) を使用可能な場合は、その GPU を使用してツールのパフォーマンスを強化できます。 このツールの実行に GPU と CPU のどちらを使用するかを制御するには、解析のターゲット デバイス パラメーター (Python では
analysis_target_device) を使用します。互換性のある GPU、GPU デバイスの構成と操作、トラブルシューティングのヒントの詳細については、Spatial Analyst での GPU 処理をご参照ください。
出力ラスターの形式が
.crfの場合、このツールはピラミッドラスター格納環境をサポートします。 デフォルトでは、ピラミッドは出力で作成されます。 その他の出力形式ではこの環境はサポートされず、ピラミッドは作成されません。このツールに適用されるジオプロセシング環境の詳細については、解析環境と Spatial Analyst をご参照ください。
参考資料:
Acton, Charles A. 1996. "Ancillary data services of NASA's Navigation and Ancillary Information Facility." Planetary and Space Science Volume 44, Issue 1, January 1996, pp. 65–70. https://doi.org/10.1016/0032-0633(95)00107-7
Acton, Charles, Nathaniel Bachman, Boris Semenov, and Edward Wright. 2018. "A look towards the future in the handling of space science mission geometry." Planetary and Space Science Volume 150, January 2018, pp. 9–12. https://doi.org/10.1016/j.pss.2017.02.013
Brodsky, Isaac. 2018. "Uber's Hexagonal Hierarchical Spatial Index H3." Engineering (blog), June 27, 2018. https://www.uber.com/blog/h3/
パラメーター
| ラベル | 説明 | データ タイプ |
|---|---|---|
|
入力サーフェス ラスター |
入力標高サーフェス ラスター。 |
Raster Layer |
|
開始日時 |
解析の開始日時。 |
Date |
|
終了日時 |
解析の終了日時。 |
Date |
|
入力解析マスク (オプション) |
解析が行われる場所を定義する入力データ。 |
Composite Geodataset |
|
入力傾斜角ラスター (オプション) |
出力日射量を計算する際に使用される入力傾斜角ラスター。 この入力が指定されていない場合、ツールは入力サーフェス ラスターから内部的に傾斜角の値を計算します。 この値を指定すると、特にツールを繰り返し実行する場合や、大規模なデータセットを解析する場合にパフォーマンスが向上します。 |
Raster Layer |
|
入力傾斜方向ラスター (オプション) |
出力日射量を計算する際に使用される入力傾斜方向ラスター。 この入力が指定されていない場合、ツールは入力サーフェス ラスターから内部的に傾斜方向の値を計算します。 この値を指定すると、特にツールを繰り返し実行する場合や、大規模なデータセットを解析する場合にパフォーマンスが向上します。 |
Raster Layer |
|
出力直達日射ラスター (オプション) |
各位置での直達日射量の値を表す出力ラスター。 出力の単位は、1 平方メートルあたりのキロワット時 (kWh/m2) です。 |
Raster Dataset |
|
出力散乱日射ラスター (オプション) |
天空、大気層、およびその他の周辺環境によって散乱した日射量を表す出力ラスター。 出力の単位は、1 平方メートルあたりのキロワット時 (kWh/m2) です。 |
Raster Dataset |
|
出力日照時間ラスター (オプション) |
直達日射量の期間を表す出力ラスター。 出力の単位は時間です。 |
Raster Dataset |
|
タイム ゾーン (オプション) |
開始時間と終了時間に使用されるタイム ゾーン。 デフォルトは協定世界時 (UTC) です。
|
String |
|
サマータイムに合わせた時間の調整 (オプション) |
入力時間設定をサマータイムに合わせて調整するかどうかを指定します。 このパラメーターは、月での解析には適用されません。
|
Boolean |
|
時間間隔に対する日射量の計算 (オプション) |
全時間設定に対して 1 つの総日射量の値を計算するか、指定した間隔に対して複数の日射量の値を計算するかを指定します。
|
Boolean |
|
時間間隔の単位 (オプション) |
全時間設定に対して、日射量の値の計算に使用する時間単位を指定します。 このパラメーターは、時間間隔に対する日射量の計算 パラメーターがオンの場合のみ使用できます。
|
String |
|
時間間隔 (オプション) |
各間隔の間の期間または時間の値。 デフォルト値は、指定した間隔単位によって異なります。 使用可能な各単位のデフォルト値は以下のとおりです。
|
Long |
|
近傍距離 (オプション) |
出力日射量の値を計算する対象となるセルの中心からの距離。 これによって近傍のサイズを決定します。 デフォルト値は入力サーフェス ラスターのセル サイズで、3 x 3 の近傍になります。 |
Linear Unit |
|
適応近傍の使用 (オプション) |
近傍距離が地形の変更とともに変動するかどうかを指定します (適応)。 最大距離は、近隣距離によって決まります。 最小距離は、入力ラスターのセル サイズです。
|
Boolean |
|
散乱モデル タイプ (オプション) |
使用される散乱日射モデルのタイプを指定します。
|
String |
|
散乱率 (オプション) |
全天標準日射量のうち散乱する比率。 値の範囲は、0 から 1 です。 大気の状態に従って、この値を設定します。 デフォルト値は、一般的に晴れの場合で 0.3 です。 |
Double |
|
透過率 (オプション) |
大気を通過する日射量の一部 (波長全体での平均値)。 値の範囲は、0 (不透過) から 1 (完全透過) です。 デフォルト値は、一般的に晴れの場合で 0.5 です。 |
Double |
|
解析のターゲット デバイス (オプション) |
計算の実行に使用するデバイスを指定します。
|
String |
|
太陽図グリッド レベル (オプション) |
内部計算に使用される H3 六角形グリッド セルを生成する際に使用する解像度。 グリッド レベルの値が小さいと、作成される大規模な太陽図エリアが少なくなるため、ツールの実行時間が短縮されます。 グリッド レベルの値が大きいと、作成される小規模な太陽図エリアが多くなるため、結果の正確度が上がります。 地球の場合、太陽図グリッド レベルの有効な値の範囲は 5 ~ 7 です。 月の場合、有効な値の範囲は 4 ~ 6 です。 デフォルトのグリッド レベルは入力サーフェス ラスターによって決まります。 地球のサーフェス データの解析では、解析セル サイズが 4 メートル以下の場合、デフォルトのグリッド レベルは 6 になります。 解析セル サイズが 4 メートルを超える場合、デフォルトのグリッド レベルは 5 になります。 月のサーフェス データの解析では、デフォルトのグリッド レベルは 6 になります。 |
Long |
戻り値
| ラベル | 説明 | データ タイプ |
|---|---|---|
|
出力日射量ラスター |
入力サーフェス全体で単位面積あたりに受けた総日射量を表す出力ラスター。 出力の単位は、1 平方メートルあたりのキロワット時 (kWh/m2) です。 |
Raster |
環境
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ライセンス情報
- Basic: Spatial Analyst が必要
- Standard: Spatial Analyst が必要
- Advanced: Spatial Analyst が必要